チューリッヒからロンドンに戻れなくなった4月17日、どうやって時間を潰そうと思案に暮れていました。快晴であれば山に出掛けたいところですが、少し靄がかかったような天気、山の上だと真っ白かもしれない・・・、そう悩んでいたところに思い付いたのが、リヒテンシュタイン(Liechtenstein)でした。
リヒテンシュタインはスイスとオーストリアに挟まれたヨーロッパ第4の小国、いわゆるミニチュア国家というやつで、面積は160平方km、人口は約35,000人に過ぎません。日本では美しい切手を作る国として収集家の間では知られていますが(国家収入の1割弱が切手から!)、ヨーロッパでは税率の低さにより資金が流入し金融分野が発達していることで有名。実はニッチな工業製品の生産も盛んで、義歯、コンクリートドリルといったもののヨーロッパにおけるシェアは90%以上を占めるとのことです。チューリッヒから鉄道とバスを乗り継ぎ片道約1時間30分で行くことができました。
さて、訪れて受けた印象は、あまり見所がないというのが率直なところです。こちらの写真は、ファドゥーツ(Vaduz)というリヒテンシュタインの中心を成す町のメインストリート、そしてそれを見下ろすように山の上に立つファドゥーツ城。これらがリヒテンシュタイン観光のハイライトなのですが、メインストリートは全長500m程度に観光客向けのホテルやレストランが軒を連ねているのみ、城は現在でもリヒテンシュタイン侯爵が住むということで入場不可。約1時間強で見終わってしまったのでした。
きっとリヒテンシュタインは「観る」のはなく「住む」のに魅力的な町なのでしょう。城が立つ山の上からは、まだ頂に雪を残す山々をバックに広がるブドウ畑や牧草地帯が見渡せました。長閑、この表現がまさにぴったりでした。これで国民1人当たりGDPが約118,000ドル(2007年)。日本の3倍強です。
ところで、ランチにいただいた「Banker's Menu」というセットメニューがなかなか美味しかったです。レアに焼かれたビーフステーキにマッシュルームクリームソースとサワークリーム、そしてシュペッツェレ(Spaetzle)と温野菜とが添えられたもの。シュペッツレはリヒテンシュタイン、スイス、南ドイツではよく食べられるそうです。小麦粉、玉子、塩を練って作ったパスタ状のもので、マカノニと同様の食感、味です。それにしても、なぜこの組み合わせがバンカー用なのでしょうか。
因みに入国に際してパスポートコントロールはないのですが、メインストリートにある観光局で入国記念のスタンプをパスポートに押してもらえます。CHF2(170円)。これでまたスタンプコレクションが増えました!
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